僕は むずかしいことは よくわからない。 何とか主義者っていって、自分の見たものとか、そこにあるものしか 信じない人がいる。ということは知っている、
僕も、どっちかというと今まではそうだった

だけど、ぼくは思ったよ、 目に見えないもの、 存在の認められないものは もっとも孤独で寂しいはずだ。 
僕とおんなじようにね

それらたちは ぼくと同じように 身を潜め、ひっそり、こっそりと だけど、聴こえない金切り声で叫んでる

僕がハッキリと覚えている 夢の話をしようか
僕は あの夢を 現実と間違うくらい、いや、今現在が うたたね だと思えるくらいに ハッキリと、そして鮮明に覚えている。

そう、何も無い、閑散とした 秋の、野原だ。 
あの原っぱに、僕と似た影を落とした哀しみや寂しさに満ちた 幽霊が出てきた 

幽霊は世界の不幸を一人で背負い、そして 哀しみをも 一人で抱え込んでいた。

でも、なんでか ものすごく 遠く、遠いところに たたずんでいた。 
僕は無償にあの幽霊を愛おしく 思ったよ。

そして ぼくは あの幽霊に約束したんだ 「絶対、君を 幸せにしてみせる」 って

僕の唇から そんな 信じがたい 言葉が 漏れ出たんだ 
それは 自然に、 本当に、素直な気持ちで 自然に

僕は 一生 あの幽霊との約束を忘れないし、 
今も あの幽霊を、幸せにしてあげたいと ふと、何回も、思うことがあるんだ。

それから ぼくの考えは なんとなく どことなく 変わっていった

見るもの、認められるもの、存在するもの、其処にあるもの、触ることができるもの、触れなくても、”ある”とされてるもの すべて、みんなが知ってて、信じているもの、存在が必然であるもの、 そんなものが ほんとうに 全て じゃないんじゃないかって

だって、この頼りない僕は 本当にモロモロで崩れやすく、砕けて、挫け、傷ついて、哀しい、悲しいと むくれて泣いてる 頼りない この僕は 
あの幽霊との 約束 ”絶対に 幸せにしてあげるんだ” って約束があるんだ

僕はね、決して 強くなることは出来ないけれど 
君にだったら 優しくしてあげる ことくらいは できる と思うんだ

だから、気づかれにくい、孤独で、ひとりぼっちで イタコや霊能力者にも気づかれない 僕に似た君を 
僕に似た 君たちを 信じてあげよう せめて僕は 信じて、受け入れて、包みこんであげよう と そう 思うんだ