私の中の蟲様たちよ、ああ、早く、早く、早くお治まり下さい
蟲の羽音は 強く、そして、いびつな、不協和音で、
私は、あなたに、そしてあなたの羽音に押しつぶされてしまう
私は欲しいの、こんな朝に、私の守護神様で居てくれる そんな人を

囁いている、囁いてる、鼓膜が破れるほどに大きな音で囁いている
あなたは何時も、眠りの夢を、目覚めの朝を 朝に、夕に、夜に、雨の日も、そして憎いほどに晴れ晴れと蒼い空の日も
私はチョークのドアで逃げたい。だけど、私には、あのチョークがないの。蟲たちは私を縛り付けて、「助けて」と叫んでも声は出ない。このきつく、かたく結ばれた呪いの紐を誰か、誰か、解きにきて下さい
そして私の守護神様になってくれるひとよ、どうか早く、一秒でも早く、わたしとその契約を交わして下さい
どうか私の守護神様になってください
天使たちが卑劣な顔で 私を見下ろし、嘲笑っているのです
呪いに 呪われた この、呪いを
早く、解きにきて 蟲たちの唾液だらけの この紐を
きっと、ずっと、永遠に ひとりぼっちで。
異界の扉を開ける鍵を下さい
私は この世界に迷い込んでしまったのです。早く、元の、世界へ

銀色のスズメバチ
夜になると
銀色の羽根をはためかせ 夜を、闇夜に はためかせ 飛ぶよ飛ぶ、飛ぶ、
地上にヒトって生き物がいるんだって
そのヒトたちは 銀色スズメバチを お星様と、キラキラ星と言うんだって

夜に眠ると、朝になり、私は醒める。目覚めると、そこは世界で、夏に暑さを感じ、冬に寒さを感じ、雨になると雫のしたたりを感じ、雫から漏れでた湿気を感じ、晴れた日には太陽の光を感じ、その光のまぶしさと、雲の遮るカーテンの煙った灰色の空を感じる