死人の詩人は

死んでから世に名を馳せた

死人の詩人は

死んだので世に名を馳せた

死人の詩人は

黄泉の国から

その世を見渡した

死人の詩人が

人に持てはやされ、

人に持てはやされるゆえに

また、その名が持てはやされていく

その世を

うつろな眼で見渡さなければならなかった

そして、死人の詩人は

ただ、ただ、黄泉の国に帰りたいと思った

そしてその世の人間たちは

やがて死人の詩人の名を

何もなかったみたいに忘れていった

死んでも世のむなしさは永遠に続き

救いの道はまるでどこにも無い